一顧傾城 月の裏側 編
3人から 残される形になった三蔵は 目の前の陽神に扮したと目が合った。
「主様 こちらでございます。」三蔵の手を 己の手の平に 乗せると、
廊下を歩いて 別室へと案内をする。
着いた先は この妓楼でも上等と思われる部屋で
すでに 床入りの用意がされているようだった。
「悪いが 俺にはその気がねぇんだ。ここに 1人で寝るから、おまえは 他で寝てくれ。」
三蔵は 陽神に言った。「主様には 操をお立てになっていられる方が おられるのですね。
わかりました、でも ここをすぐに出ると 今夜は 他にもお客を取らねばなりません。
今しばらく 置いてくださいませ。」切なげに縋る 陽神を突き放すことも出来なくて、
仕方なく 三蔵は 頷いた。
三蔵は 座敷に座りなおすと 用意されていた酒を 陽神に酌させながら、飲む事にした。
「主様 先ほどから 私を見てどなたかを 思い出しておられますね。
今日は 離れておいでなのですか?
そんなに拙は 主様の想い人に 似ておりますか?」微笑ながら 三蔵を見るその瞳は、
紛れも無くのものに 違いなかった。
「陽神と言ったな、本物の陽神 つまり 揚子江 神女 なのか?」
三蔵は ふと湧き出た 疑問をそのまま ぶつけてみた。
「はい 本物でございます。やっと気付いていただけましたか。
我ながら 化粧でここまで変わるとは思いませんでしたので、
もう少し 早く見破られると思っておりましたが、
意外と持ちましたね。」は 楽しそうに笑って答えた。
「 なんだって こんな真似をしたんだ。しかも あいつ等も一枚噛んでやがるな。」
三蔵は 怒鳴りはしないものの 不機嫌さをまして 言った。
「それは 先ほども申したように 今日は 三蔵の誕生日だからでございますよ。
何か お祝いを差し上げたくて みんなにも 協力してもらったのです。
帰っても怒らないでくださいね。以前に 皆で月見を致した折に 三蔵には 喜んで
頂いた様だったので 今回は趣向を凝らしてみたのですが、お気に召しませんでしたか?」
心配そうに 尋ねる。
「いや 怒ってはいないし、悪くは無かった。」の言葉に 三蔵は それ以上の
追求をやめようと思った。せっかくの心尽くしなのだ 受け取るのも まあいいだろうと・・・。
「三蔵 私は 他の部屋に泊まりますので、そろそろ 失礼致します。」は そう言って
立ち上がろうとしたが、三蔵に 着物のすそを引っ張られて
その腕の中に 倒れこんでしまった。
「何を言っている 今夜は 俺がを買い占めたんだ。逃がさねぇよ。」三蔵は
を抱きしめながら その耳元に囁いた。
「先ほどは その気が無いとおっしゃられたでは ありませんか。」
身をよじりながら は答えた。
「ここまで 綺麗なが抱けるんだ 騙したことや妓楼を使ったことは許してやる。
おとなしく 俺に帯を解かせろ。が 贈り物なんだろう?」三蔵の言葉に
は 頬を染めながら、その細い腕を 首にまわす事で それに答えた。
三蔵は の身体を 布団の上に ゆっくりと倒していく。
紅の塗られた唇は 濡れて 誘っているように 三蔵には見えていた。
口付けを交わす前に 2人はお互いの顔を 確かめどちらとも無く 微笑みあう。
「三蔵 お誕生日おめでとう。」は 囁いた。
愛しい女自身が 自分への贈り物という誕生日の夜を
喜ばない男がいたら 聞いてみたいものだと、
三蔵は に 口づけを落としながら 思っていた。
しかも 今まで見たことのない姿で、己を飾ってくれている。
今夜は 隣の部屋の連れの奴らに 気遣うことなく の媚態に酔える事を、
うれしいことだと思った三蔵は がそのために 妓楼を用意したのだと 思いついた。
2人の濃密な夜を、心理的にも誰にも邪魔されたくないと 思ってくれたのだと・・・・・。
「 今夜は寝かさねぇぞ。」そう言いながら、優しく施していた 口づけを、
深いものに変えてゆく三蔵だった。
口付けで交わりながら 三蔵の両手は の着物の帯を 器用に解いてゆく。
目にも鮮やかな赤い着物の下から現れた の白い肌に 三蔵はめまいを感じた。
その首筋に 唇を落としながら 朱色の花弁を散らしてゆく。
肌を吸い上げるたびに チリリとした痛みが に加えられていく、
の顔には その度に 痛みに耐えるように悩ましい表情が浮かんで
三蔵を引き込もうとしている。
「その表情 そそられるな。」耳元で そう囁くと、の身体が ビクリと反応した。
何時までも 慣れてこないその反応に 三蔵のノド奥で 笑いが漏れる。
「何を・・・笑って・・・いるの?」首筋に三蔵の愛撫を 受けながら は拗ねたように尋ねた。
「ん? があまりに 可愛いからさ。ついな・・・・。」
三蔵は曖昧に答えると、の着物の前を 思い切り広げて その裸身を 我が目にさらした。
その胸の頂は これから始まる甘い責苦を思ってか それとも 暖める着物が無くなっての
寒さのためか わずかに立ち上がっている。
「いやっ、見ないで!」との手が 胸と柔らかな茂みを隠そうとするのを、
三蔵は「今夜は 俺のために 贈り物になる事にしたんだろう? じゃあ 楽しませてくれ。」
そう言って いつもは 力を使って抑えるのを、言葉だけを に聞かせた。
「 腕を広げて 俺のお前の美しい全てを見せてくれ。」三蔵の甘い言葉に
は 裸身を隠そうとしていた 両腕をゆっくりと 両脇に広げた。
まるで 布団の上に貼り付けにされているように 横たわっている。
そのの身体を 三蔵の両手が 肩から始まって 鎖骨の上を優しく通り、双丘を 外側から
頂に向かってなで上げた。「あっ・・・さ・・ん・・・ぞう。」の広げた両腕が ピクリと動く。
「 腕は広げたままだぞ。俺は 贈り物の肌触りを楽しんでいるんだ、邪魔するんじゃねぇぞ。」
強く弱く 柔らかさを試すように胸を 揉んで、指先で 蕾を摘まんでは刺激を与える。
三蔵は 片方の胸の蕾を 口に含んで 舌でもてあそび始めた、
もう片方にも 刺激を与え続けている。
「味も申し分ねぇな、甘くて みだらで 啼く声も色っぽい。」
「いやぁ・・・・あっ・・・・・んんっ・・・」
の嬌声は 三蔵に 甘美に聞こえていた。
化粧を施したの顔は いつもよりも 艶かしく美しく 三蔵の征服欲を 煽る。
三蔵は 腰を抱いていた手を 足の間の茂みへと滑らせた。
「あっ・・・ダメっ・・・・・さん・・・ぞ・・うっ」は 三蔵の言いつけどおり 腕を広げた状態のため
今夜は より感じているらしく 割れ目に沿って 指で探ると、
そこは すでに 濡れて溢れていた。
「いつもより 感じているのか? もう こんなに濡れているぞ。」
そう言いながら 三蔵は 割れ目の奥へと、指を進めていく。
難なく指が 花芯を探り当てた 濡れた指で それを いじくりだす。
「んっ・・・・あぁ・・・・・いやっ・・・・・んっ。」の身体の力が抜けて、
より感じるために自ら足を開く。胸から口を離した三蔵は、
鳩尾から腹部へと 唇で 愛撫を施していく。
の足の間に身体を移動させると、指でいじっていた花芯を 舌での愛撫に 変えた。
指は 花の窪みへと突き入れてやる。
「あぁっ・・・・・さ、さん・・・・ぞう・・・・す・・・ごくっ・・・。」
言葉にならない 嬌声が 何度もの口に のぼっては、三蔵を 煽る。
「そんなに いいか? じゃ 指を増やしてやろう。」そう言って 2本に増やされた指に、
の中は 喜びに蠢いて 指に絡み付いてきた。
三蔵は 指に伝わるその感覚に、己を突き入れたときを 想像して たまらなくなってくる。
の中が 登りつめようと 蠢きだしたのを感じて、「もういくのか? いつもよりも早いな。」
そんな言葉で の羞恥心を煽る。
媚態を見られていると言う 甘美な拷問に、
耐えていたの身体は 一気に駆け上ってしまった。
三蔵の指を 引き千切らんばかりに 締め付け、の窪みは 収縮を繰り返す。
まだ 余韻に浸って蠢くそこから 指を抜くと、「いやっ、さん・・ぞう。」と の口から
抗議の声が上がった。
「大丈夫だ もっと 締め甲斐のあるものに換えてやる。」そう言いながら
三蔵は 猛っている己を、濡れて蠢く窪みへと 突き立てた。
「あっあぁ、す・・ごっ・・・・いぃ・・・・」まだ 達したばかりのの中は、
新たに加わった刺激に敏感に反応してくる。
「くっ・・・、相変わらず きつくて いいな・・・・・蕩けているぞ・・・」
三蔵自身も その反応に自分を見失いかけながら 快楽の渦に 飲み込まれまいと、
必死に 踏み止まっている。
からの打ち寄せる波が 引いてきたのを感じて、三蔵は 身体を動かし始めた。
「だめっ・・・さんぞ・・う、もう少し・・・・まっ・・・て ・・・。」
三蔵の動きに また 新しい細波が 身体の中に立ち始めた は、
涙で濡れた瞳で 三蔵に懇願した。
しかし の頼みでも三蔵には 聞く気はなかった。
それどころか 何度も楔を 打ち込みながら、の胸をも 触りだす。
その新たに加わった刺激に の窪みは すぐさま反応して、三蔵を締め付けてきた。
「お・・いっ、い・・・くぞっ。」たまらなくなってきた三蔵は、に声を掛ける。
「んっ・・・い・・いっ・・しょ・・に・・・。」漏れる息の間から 何とかそう答えを聞くと、
腰の動きを いっそう早く動かして 己の限界に向けて のぼろうとした。
の中で 波に呑まれそうになりながら、一緒にいこうと 三蔵は耐えている。
「あぁっ、さ・・ん・・ぞう・・も・もう・・・・いっ・・・・・・・・・くっ。」その言葉を最後に
は 息を止めて身体を硬直させた。
三蔵にもものすごい 締め付けと収縮の波が襲ってきた。
その刺激に耐えられずに 三蔵も己を 解放する快感に酔いしれる。
三蔵の荒い息だけが その部屋に満ちていた。
の窪みは 三蔵をまだ離してはくれないが、自身は 意識を飛ばしてしまったらしく
身体からは 力が抜けてしまっている。
汗で額に張り付いた髪を 払ってやりながら、その美しさに満足げに 息を落とす三蔵だった。
「まったく、俺をこんなにさせるのは お前だけだぞ。」
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BY「黎明の月」 龍宮 宝珠